白血病は骨髄の癌
イメージとは違う実際の治療法
白血病の治療というと、“骨髄移植”と思う方が多いと思います。
白血病になる以前の私もそうでした。
診断を受けてから、すぐに骨髄移植の話をされると思っていたら、そうではなかったんですね。
主治医から最初に説明があった治療法は“化学療法”。抗がん剤治療のことです。
中心静脈にカテーテルを挿入して点滴で抗がん剤を投与する。
まずはこれで、「寛解」を目指すんです。
「寛解」とは、骨髄の癌が消滅した状態ということです。
“癌が消滅する”ということは、これで“治った”と思う方も、いると思います。
そうではないんですね。
治療の全期間をフルマラソンに例えたら、「寛解」は〈最初の給水所〉という感じ。
まだ、中間地点にも行っていない。
私の場合は、診断を受けた翌々日に、抗がん剤の投与が始まりました。
3日目に急に食欲がなくなり、4日目に大部屋から無菌室へ移りました。
白血病は感染症ではありません。感染はしない。
骨髄の癌です。
無菌室へ入るのは、空気中の雑菌などでも体内に入れば急変してしまうからです。
抗がん剤の投与によって白血球が破壊され、免疫力、抵抗力がなくなってしまうのです。
面会は家族以外は不可。
食べ物は加熱食品だけ。生ものはダメ。
とは言っても副作用で味覚障害が始まり、そもそも食欲がなくなってしまう。
味覚障害というのは、食べ物がおいしく感じられないというレベルではない。食べ物すべてがこの世のモノとは思えない味になってしまう。例えようのない味になってしまうんです。ですから食べられない。
歩くのも無菌室内にあるトイレまで行くのがやっと。筋力もあっという間に落ちました。
治療開始2週間目には体重が10キログラムも減っていた。
また、このころから脱毛が始まり、皮膚はボロボロ。鏡の中の自分は別人になった。
こんな姿になった私を見なければならない家族の者の気持ちを考えると、胸が痛みました。
毎日、ぼーっとして集中力もなく、ただ病室の天井を見ているだけ。
テレビを観たり、本を読んだりする気にもなれない。
ただただ、妻や子供、医療スタッフに対する感謝の気持ちで毎日涙があふれました。
治療中は、月に1度、骨髄穿刺(マルク)検査があります。
治療が始まって21日目に、最初の検査があった。
「寛解」するのに数か月かかる人、数年かかる人といるそう。残念ながら「寛解」しない人も。
翌日、担当医が検査の結果を告げに来た。
「寛解しています」
この年齢で早期の寛解はまれだそう。
しかし、これは〈最初の給水所〉にすぎなかったんです。
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