地固め療法
「寛解」=「治った」ということではない
前々回の投稿に、私が「寛解(かんかい)」したところまで書きました。
「寛解」とは抗がん剤治療によって、骨髄の癌が消滅した状態のことです。
しかし、治療をフルマラソンに例えたら「寛解」は〈最初の給水所〉に過ぎない、と言いました。中間地点にも届いていない。様々な副作用との闘いの始まりともいえるのです。
なぜなら、「寛解」=「治った」ということではないのです。
先日、競泳選手の池江璃花子さんが白血病を公表して以降、いろいろなメディアで医者が白血病について解説しています。
「白血病は完治できる病気になった」とか「早期発見できれば治る」と言っている方が非常に多いことには、驚きました。白血病を他の癌と同じように考えている医者が多いんですね。
そういった表現に対して、医者の中でも血液内科の専門医たちが、警鐘をならしています。
「白血病は、完治したと医師が判断できる病ではない。再発のリスクは一生つづく」
「白血病は流動性の癌なので、発見されたときは全身に回っている。早期発見ということはありえない」
というものです。
実際、私が白血病の治療を受けている中で、今までに、主治医、担当医、セカンドオピニオンなど約10名の血液内科医に、白血病に関する説明を受けましたが、「完治します」とか「早期発見」という言葉は、一度も聞いたことがありません。
通常、癌にはステージ“いくつ”という段階がありますが、白血病にはそれがありません。症状が出た時には、すでに癌が全身の骨髄に回っていますので、あえて言うならば“ステースジ4の末期”になってしまうのだそうです。
その状態から、抗がん剤治療や骨髄移植などで、寛解までもっていくわけです。
ですから、治療は壮絶なものになります。
私は全身の骨髄の約80パーセントが癌化していましたが、幸運にも治療を初めて1か月弱で寛解しました。私の年齢では大変めずらしいことだそうです。
その時に、担当医からこのような説明がありました。
「寛解しましたけれども、白血病が治ったわけではありません。ここで治療をやめたら再発はまぬかれません。あともう3か月間は化学療法(抗がん剤治療)を続けて、その後、骨髄移植をすることになると思います」
白血病の治療の目的は、この「寛解」状態を一生維持すること、と言えると思います。
そのために、寛解したあとにも、このような「地固め療法」が必要になるのです。ですから、どの時点で“完治”したのかなんて誰も判断できないのです。
まあ長期の治療は覚悟の上でしたが、この後、さまざまな副作用に襲われていくことになります。
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