無菌室とはこんなところ
室料は無料
私は白血病と診断されて2日後に、化学療法(抗がん剤治療)が始まりました。
それまでは4人部屋にいて、最初の2日間ぐらいは食欲も普通にあった。
「なんだ、抗がん剤といったってたいしたことないじゃないか」なんて思った。
ところがこれが大間違いで、3日目に急に食欲がなくなり、4日目に無菌室へ移ることになった。
私は無菌室の料金が気になり、看護師さんに聞いてみた。すると、「治療に必要な措置のため、無菌室は料金がかかりません」とのこと。その点はひと安心しましたが“未知の領域”ですからね。いざ移るとなると不安でいっぱいでした。
きれいな個室
一言でいえば非常にきれいな個室。
抗がん剤の投与により、白血球が極度に減少する。そして、感染が起こりやすくなる。
白血病が他人に感染するのではなく(白血病は他人に感染しません)、白血病の人が感染を受けやすく、それが命取りになる。
空気中にある様々な雑菌によって感染症を起こしてしまう。
それを予防するための設備が整った個室の病室です。
最初は、「こんなところに入って、この先どうなっちゃうんだろう」なんて不安でしたが、意外に快適でしたね。体調のことを考えなければ。
普通の病室と違うとことは
まず、面会は原則として家族だけに限られていました。
面会者は、無菌室へ入る前にうがい、手洗いをし、キャップ、マスク、ガウンを着けます。外界からの雑菌の持ち込みを最小限にするためです。手荷物の持ち込みも、原則できません。花や果物の差し入れもダメです。
ちなみに、入院している私は普通にパジャマ姿。
室内には特別な空気清浄器があり、24時間稼働しています。空気がとてもきれいなのがわかりました。室内の清掃や備品の消毒も、係りの方が毎日念入りにやってくれるので、超清潔!洗面台もトイレもシャワーも専用です。
そういった意味では快適でしたね。
食事
抗がん剤の影響で、白血球が減少し始めると、食事は加熱食になります。
“なんでもかんでも火を通してある食事”とでもいいましょうか………。
美味しくないんです。これが。
最初のうちは、それでも体調のいい時は食べられたんです。しかし味覚障害の副作用が始まってからは、まったく食べられなくなりました。
外界から遮断された世界
しーんと静まり返った部屋に一人。一日中。
体は、日に日に衰弱していく。どんどん筋力が落ちていくのがわかる。
2週間目からは髪の毛も抜け始めた。食事も食べられない。
家族が面会に来ても、起き上がる気力もない。しゃべるのもつらい。
抗がん剤というのは、恐ろしいものです。
抗がん剤というのは、恐ろしいものです。
そういう状態になって初めて気づくんですね。「ああ、今まで自分は幸せだったんだなぁ」って。
家族、会社の人、友人、医療スタッフなど、あらゆる人への感謝の気持ちしかないんですね、そういう時。
副作用でもうろうとした意識の中で、無菌室の天井をぼーっと見つめていて、毎日涙があふれましたね。元気になって、少しでも感謝の気持ちを返したいと。
そんな時、担当医の女医さんが病室に入ってきた。
私の涙を見て、「そんなにつらいんですか?」と聞かれたので、つい、「はい」と言ってしまった。
そしたらその日、吐き気止めの点滴が1本追加されてしまったんです。笑