医療現場の変化
医師、看護師、患者の立ち位置が変わった
私は、10代の頃に長い闘病生活を経験しており、十数回入退院を繰り返した時期がありました。
今回、久しぶりに大学病院に入院して気づいたのですが、医師、看護師、患者の関係が以前とまったく違うのです。
40年ぐらい前は、これが縦の関係で、一番上が医者、次が看護師、一番下が患者というような、一種の“主従関係”のようだった。
患者にとっては、色々な意味で「不利」な状況に置かれていたと思います。
今は、医者、看護師、患者が同等の立ち位置に立っている、そう思いました。
医者は謙虚になり、看護師は医者と対等に仕事をするようになり、患者には発言権が与えられた。ずいぶん変わったもんだなぁ、と驚きました。
セカンドオピニオン
主治医が他の病院の医師の診察を受けることを認める、あるいはすすめるなんてことは、以前には考えられないことでした。これは画期的なこと。患者の“弱い立場”が、だいぶ改善されてきているなと実感しました。
で、私はある病院のA医師のセカンドオピニオンを受けるようにすすめられました。
今は、ネットで調べられる、詳しいことが。
紹介されたその病院は、日本で骨髄移植の件数が最も多い病院の中の一つで、A医師はその専門医でした。
入院している病院から半日の外出許可を得て、弟の運転する車で、セカンドオピニオンを受ける病院に向かいました。体力も著しく低下し、歩くのもやっとで、長い一日の始まりでした。
受付で紹介状を出し、手続きを済ませ、待合室に通されました。すると私と同じ病気の人が全国から来ているんですね。まさに命がけでこの病院にセカンドオピニオンのために来ているんです。
抗がん剤治療の副作用により衰弱しきった体で、付き添いの方にもたれかかりながら待合室で待つ方々。私も他人から見たらこう見えているんだなぁと思いましたね。なんて因果な病気なんだろうと。
実はもう一つ、ショックなことがありました。
それは、受付の方の応対、待合室に案内してくれた方の応対、看護師の応対です。
非常に心のこもった応対。こんな応対を受けたことがない。
私の入院している病院は骨髄移植はできないので、するとなればこの病院になります。
“この病院で命を終えることになるかも知れない人に対してのやさしさ”、それが伝わってきてしまったんですね。
移植のリスク。この応対を見て、「自分はちょっと甘く考えていたかもしれない」と直感しました。
予約した時刻になり、医師の待つ部屋へ通されました。
移植のリスクは想像以上
30年前だったら、癌は患者本人には告知することは少なかったでしょうし、治療のリスクなんてすべて伝えることはなかったでしょうね。
今は、全部言っちゃうんですね、本人に。「聞かなきゃよかった」と思いましたね、正直。
一方で、自分はラッキーだなと思う部分もありました。
A医師は、とても中立・公平な立場から話す方でした。誘導する意図が一切ない。移植現場の医師の本音が聞けたことを、本当に感謝しています。
白血病は様々な種類があり、人によって治療法が異なる。かかった病院、医師によっても違うでしょう。
だから誤解を避けるために、ここに内容を書き込むのは控えます。
骨髄移植をするか、しないか。二者択一でこんなに迷ったのは初めてです。
私は結論を出せずに、入院する病院へ戻りました。
そして丸一日考え、主治医に伝えた。
「骨髄移植はしません。このまま、先生に治療をお願いします」
「わかりました」
理由は聞かれませんでした。
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