突然息子がとった行動
あのバスの中の自分と重なる
前回の投稿で、終バスの中でのエピソードを書きました。
希望に満ちあふれた時代でした。
その後、16歳の時に十二指腸潰瘍でドクターストップ。当時は潰瘍にいい薬なんてまだなかった。運動全般を禁止されてしまったので、剣道はあきらめるしかなかった。
意外でしたが、あれほど大好きだった剣道をすんなり忘れられた。それほど病気がつらかったんですね。
時が過ぎて、結婚し、数年後やっと子供を授かった。男の子一人。
その息子が小学校に入るころ、「剣道がやりたい」と言うので近くの道場に通わせることに。「血は争えないな」と思いつつ、その頃の私は剣道には無関心。道場に付き添いで行くこともしませんでした。
ある晩、家のリビングで寝転びながらテレビを観ていると、そこへ剣道の道場から、小学3年になった息子が帰って来た。
「お父さん、二刀流ってこうやってやるんだよ!」
リビングの扉を開けるやいなや、道着・袴姿の息子が上下太刀の構え(二刀の代表的な構え、上段の構えの一種)をやったんです。
私は「うわぁぁぁー」と大声で叫んでしまった。
今、目の前に37年前の自分が現れたようで、飛び起きちゃったんですね。
あの終バスの中で、車掌さんに向かって二刀の構えをやっていた私が突然目の前に。
息子は顔がその頃の私にそっくり。その時の道着・袴姿も同じ。学年も当時の私と同じだったのです。
そして同時に、初めて二刀流を見た時の衝撃の光景が、走馬灯のように頭の中を流れた。
そして、あの頃の決意を思い出したんです。将来、二刀をやるという。
後からリビングに入ってきた妻に言いました。
「オレ、明日から剣道をやる!」