握った手が開かない
間違った素振り
前回の投稿の続き。
このころ、あの“2㎏の鉄筋棒”での片手素振りをやり始めて、1カ月くらいたっていた。重いものを振ることは逆効果であることも知らずに。
鉄筋棒の持ち手の部分はテーピングでグルグル巻きにし、手には作業用の分厚い皮手袋をはめて素振りをしていました。
それでも、手のひらは豆だらけ。30年ぶりにやり始めて、鉄の棒を手で握って、片手で振っているわけですから、当然ですよね。
その素振りを1~2時間やった後は、手を開くことができなくなり、しかも握力もなくなってしまいます。
夕食を食べる時に、手が開かなくて箸が使えず、握った手の平にスプーンを差し込んで、妻にテープを巻いて固定してもらって食べたこともありました。
面打ちが当たらない
そんな状態から、いよいよ打ち込みの開始。海岸沿いの防風林の中で。(その経緯は「リバ剣の準備 その3」をご覧ください)
背の高さほどの松杭を打ち込み台に見立てて打突してみる。
まずは「面」打ち。
水分補給用に持ってきたペットボトルを“小刀”として左手に持ち、大刀(竹刀)を右手に持って、上下太刀(二刀の代表的な構え、上段の構えの一種)に構えた。一応、正二刀です。
小刀は中段に構えたまま、大刀で「面」打ち。最初は、踏み込まずに打てる距離に立って打ってみた。
「当たらない」
松杭の直径は12~13cmぐらいだったでしょうか。全然当たらないんです。
10回打って1回も当たりませんでした。松杭の左右どちらかに、わずかに外れてしまう。
「こんなはずじゃない」
試しに、左手で打ってみることに。大刀を左手に小刀を右手に持ち替えて、逆二刀に構えた。
「当たった」
10回打って、外したのは3回ぐらい。
右片手で打つ事が、こんなに難しいとは思いませんでした。
片手打ちの「基本」が解っていませんでしたから、当然といえば当然なんですが……。もう少しうまくできると思っていたので、ショックでした。
「正二刀」で剣道再開したい
高1までは剣道をやっていたので、小学生のころから諸手で竹刀を振っていても、「左手で切る」という意識は常に持って竹刀を振っていました。
30年ブランクがあっても、そういったことは身に付いているんですね。左片手なら、打突力は弱いが当たります。
しかし、私がとりあえず目指したのは「正二刀」での剣道再開。小学生の頃に私が見た二刀者はみんな「正二刀」でしたから。私の憧れです。(その当時の様子はこちら)
後に、逆二刀を稽古して、最終的に“正逆”両方できる剣道家になろうと思っていましたが。
「まずは、右片手で正確な面打ちができるようになろう」
その日から雨の日以外は毎晩、“防風林の中で”打ち込み稽古をするようになったのです。
仕事から帰って夕食を済ませたら、まず片手素振り。あの“鉄筋棒”で。
その後、“防風林の中”で打ち込み。トータルで1日3時間以上稽古していたと思います。
今考えれば、どれも正しい稽古法とは言えないものでした。
この2か月後に「二天一流武蔵会」で指導を受け、正しい二刀の稽古法を徐々に身に付けていくことになります。そして、さらに厳しい稽古を自分に課すことになるのですが……。
しばらくは、我流の“稽古”が続きました。