「寛解」を維持する
再発のリスクは一生
前回の投稿で、化学療法(抗がん剤治療)と放射線療法の最終的な検査として、PET-CT検査を受け、「転移(浸潤)なし」という診断だったと書きました。
実は、医師のこんな言葉が続いたのです。
「寛解も維持しています。遺伝子レベルで調べても癌細胞はありません。しかし、白血病が治ったわけではありません」
やっぱりそうなんだ、と思いましたね。1年前、入院してすぐに妻と二人で主治医から説明を受けた。
「急性リンパ性白血病です。しかも、フィラデルフィア染色体異常の。完治することはありません。寛解(骨髄の癌が消滅)しても再発のリスクは一生続きます」
白血病の原因は解明されていない
白血病で解っていることは、「感染しない」「遺伝しない」ということだけ。原因は解明されておらず、治療法も確立されているとは言えません。
最近の研究では、人によって造血幹細胞のどの部分が癌になるかが異なるということが解ってきて、白血病を数百種類に分類できるようになったようですが、なぜそこが癌になるのかが、解明されていない。原因が解らないから、根治ができないんです。
ですから、寛解しても2カ月で再発する人、1年で再発する人、5年で再発する人、10年で再発する人といろいろいるわけです。
しかも医師からこうも言われました。「再発した場合は、寛解することは難しい」と。
これが、白血病治療の現状です。
水泳の池江璃花子さんが白血病を公表されてから、白血病の専門医でもないタレント医師たちが、リスクの説明も一切なしに「白血病は完治できるようになってきた」なんて言っていますね。一体どの口がそんなことを言うんでしょうかねぇ。
例えば、私ですが、50歳代で急性リンパ性白血病、フィラデルフィア染色体異常ですので、5年後の生存率は10パーセント以下です。何を根拠に「完治できる病気」と言っているのでしょうか。
「寛解」を一生維持することを目指す
完治(根治)ができないのであれば、医師をはじめとする医療スタッフと患者が協力してできることといえば、「寛解が一生続くことを目指す」ことなのです。“ゴールのないマラソン”のスタートです。
ですから退院した後も、服薬と月に一度の通院(血液検査をします)は続きます。
そしてまずは復職を目指すことになりますね。仕事はしなければなりませんから。しかし、すぐには無理です。そのへんは甘く考えてました。退院すればすぐに仕事に復帰できるんではないかと。
とことがそれはとんでもない話でした。仕事なんて全然無理。長期間の入院と抗がん剤の副作用で体はボロボロ。何しろ、まともに歩けないんです。足が前にでない。横断歩道を信号が“青”のうちに渡り切れないんです。
筋力の衰えは想像以上です。特に脚力の低下が著しい。
それでも新たな目標に向かって歩み始めることができたという感謝の気持ちでいっぱいでした。そして、人生でやり残したことをやっておこう、そう思うようになっていたのです。
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