特に気をつけたいこと
病院選び
白血病と診断されて、会社の上司に報告すると、こんな話が返ってきた。
上司の甥っ子が高校生の時に白血病になり亡くなったと。その親御さん(上司の兄)は、病院選びを間違ったと、後で大変後悔されていたそうです。どうも最初の段階で適切な治療を受けることができなかったらしのです。
私が入院中にも、やはり他の病院で適切な治療を受けることができずに、転院してきた方を何人か見ました。その方たちのその後の治療経過は、あまりよくなかったように思います。
白血病を疑われたら、血液内科のある総合病院を受診しなければなりません。そして、必ず「無菌室」の設備のある病院であることを確認することが大事です。
私の場合は、自宅から最も近い病院が某大学病院だったので、その点はラッキーでした。
病院は1カ所に、そして薬は「院内処方」で
先ほど病院選びでは、血液内科のある総合病院を受診すべし、と言いました。これは、他に持病があって病院にかかっている場合、複数の病院や薬局の医療費は合算されず、個別に限度額認定が適用されるからです。
例えば、もともと糖尿病でA病院にかかっていて、毎月検査と薬の代金が1万円かかっていたとします。白血病になりB病院に入院して限度額認定を受け、上限の88,000円(前年の収入によって変動します)を毎月支払っていたとする。
入院での治療を終えて通院で治療を続ける場合、以前のようにA病院に糖尿病の治療で受診すると、合算されませんから1万円の支払いが発生します。白血病の薬を院外薬局で求めれば、それも合算されませんから支払いが発生します。特に白血病の薬は非常に高額ですから、ここでも限度額適用の上限の88,000円の支払いが発生します。(申請すれば一部は戻りますが、全額は戻りません)
これを、糖尿病もB病院で治療し、白血病薬も院内処方にしてもらえば、88,000円で全て収まってしまう。それ以上の支払いが発生しないのです。
がん保険加入は必須
- 受け取ったがん保険の診断給付金(一時金)は残しておく方がいい
がん保険の診断給付金(一時金)の必要性は、「白血病の治療~私の場合~②」の中で書きました。入院1~2カ月目に必要です。その後、各種保険請求の手続きが済めば、使った一時金を戻しておくことができます。
診断給付金は、がんと診断された最初の1回しかおりません。再発したり、新たに違う癌になっても一時金はもう出ません。ですから、万が一の再発のために備えておく必要があると思います。
- がん保険のカスタマイズ
がんになった時に一番頼りになる保険は「がん保険」であることは、言うまでもありませんが、大事なのはその内容です。
現在は、付帯する保障内容は様々なものがあり、特約をつけられるものもあります。いたれり尽くせりというところでしょうか。しかし重要なのは基本の部分です。
それは、「診断給付金(一時金)」と「入院給付金」です。中でも、「入院給付金」は最も手厚い保証を設定しておくべきです。
「入院給付金」は通常の医療保険で保証されているから、わざわざがん保険に入る必要はないという方がいます。しかし、実際にがんになってしまったら、ちょっと心細いですね。通常の医療保険の「入院給付金」の支払い期間には“期限”があります。3カ月間とか6カ月間という。それに対して、がん保険の「入院給付金」は無期限です。しかも再発しても無期限で給付されるものがほとんどでしょう。
「入院給付金」の給付額はカスタマイズ可能です。〈入院1日あたり5千円の給付が1口〉になっているものが多いと思います。それを何口にするかで、1日の給付額が決まります。例えば、2口で契約すれば1日1万円の給付になる。1カ月の入院で30万円が給付される。かかる医療費は限度額適用認定が受けられますので、月に上限いっぱい支払ったとしても10万円前後。残った20万円で、ケータイ料金や家の光熱費などを支払うことができます。最低でもこれくらいの保証はつけておきたいところです。
一方、「診断給付金」(一時金)は保険会社によって、金額に差があります。私の場合、この「診断給付金」が非常に役立ちました。(「白血病の治療~私の場合~②」に詳しく記載)最低でも50~100万円ぐらい給付されるものを選びたいですね。
食事や運動に制限なし!寛解を一生維持することを目指す!
注意したい点で、大まかなところは以上です。細かいところはまた別の機会に書きたいと思います。
白血病は、寛解して白血球が正常値になって、免疫力が上がれば、食事や運動に制限はありません。
白血病になる以前の生活にもどることができるのです。
しかしこれは、“完治”したわけではない。“根治”できたわけでもないのです。医学の現状として、この診断を下すことは不可能なのだそうです。
再発の確率があまりにも高く、そのメカニズムも解明されていない。
人智でできることは、「寛解を一生維持することを目指す」こと。
まずは、他の癌と同様、5年間の経過観察で寛解の維持を目指します。
忘れてはならないこと
私は、52歳で急性リンパ性白血病と診断され(この年齢でこの病名ですと、5年後の生存率は10パーセント以下)、入院1カ月目で寛解し、奇跡的に現在まで約2年間寛解を維持しております。
しかしながら、長期間治療を受けても寛解しない方がたくさんいらっしゃる。寛解しても、1,2カ月で再発する方も多い。何度も移植をし、あらゆる治療法を尽くしても寛解せず、旅立たれていく方も多い。また、寛解しても合併症で命を落とす方もいらっしゃいます。副作用のつらさのあまり、自ら治療を中止してしまう方も。
そういった方々がたくさんいらっしゃることを、私たちは絶対に忘れてはなりません。
私は、白血病と診断された直後から、家族の者に対して、このことをきつく言い渡しておりました。
「私が、もし寛解したとしても、絶対に喜んだり、浮かれたりしてはいけない。寛解しない方がたくさんいる。再発する方がたくさんいる。その方々の気持ちを考えるように」と。
今でもそのことを、よく守ってくれています、家族みんな。涙が出ます。
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