白血病はがん細胞が「浸潤」する
放射線治療で残っている癌細胞を消滅
「白血病って、放射線治療するの?」って思う方、多いと思います。
“固形癌”なら分かります。皮膚がんや肺がん、食道がんなど、その部位に放射線を照射するわけですよね。
“流動性の癌”である白血病は、全身の骨髄に癌が広がります。ですから、手術で取り出すことはできません。大量の抗がん剤を点滴で投与して、癌を消滅させるわけです。
しかしながら、骨髄以外の場所にも癌細胞が入り込むのです。流動性の癌である白血病の場合、これを「浸潤」と言います。固形癌の場合は「転移」ですね。
浸潤した場合、最も危険な場所は、脊髄と脳です。
そのため、化学療法(抗がん剤治療)と並行して、髄液検査と髄注を行ないます。
尾てい骨から背骨、脳の表面まで、いわゆる中枢神経を覆っているのが髄液です。髄液検査は、背骨に針を刺して髄液を抜き取って検査します。抜き取った分と同じ量の抗がん剤を同じ場所に注入します。これが髄注です。
そして男性の場合は、最も浸潤しやすい場所があるのです。それは精巣(睾丸)なんです。(白血病の初期症状については、このブログの「急性リンパ性白血病」のページに記載しています。)
放射線治療
白血病と診断される3カ月ほど前、微熱、盗汗(大量の寝汗のこと)、精巣(睾丸)肥大が始まりました。
精巣(睾丸)は徐々に大きくなり、最終的には3倍ぐらいの大きさになりました。白血病の癌細胞が精巣(睾丸)に「浸潤」していたんですね。
入院して化学療法(抗がん剤治療)が始まると、すぐに精巣(睾丸)は元の大きさに戻りました。
しかし、精巣(睾丸)に浸潤した癌細胞が完全に消滅したかどうかは分からない。少しでも残っていれば、寛解したとしても、そこから癌細胞がひろがっていってしまうのです。
なので、化学療法(抗がん剤治療)が終了した後に、精巣(睾丸)に放射線を照射して、浸潤した癌細胞を完全に消滅させなければならない。これを通院で行なうわけです。
放射線治療は全17回。日曜日以外はほぼ毎日通院して受けました。
放射線治療も健康保険の適用ですので、限度額以上に医療費を支払うことはありません。(白血病の治療費については、「白血病の治療~私の場合~②」をご参照ください。)
治療を始める前に、放射線科の医師から治療の手順と副作用、精神面でのサポート体制などの詳しい説明がありました。こういう説明は、聞けば聞くほど不安になりますね。そんな中、放射線治療が始まりました。
一回の治療で放射線を照射する時間はほんの数分。すぐに終わります。特に苦痛はありませんでした。
化学療法(抗がん剤治療)を終えたばかりで、もともと副作用満載の体ですから、放射線治療の影響と言われてもよくわかりませんでした。(笑)
ただ、一つだけ徐々に表れた影響があります。照射した部位の皮膚が、軽いやけどのようになっていくんです。私の場合は精巣(睾丸)でしたから、さほど気になりませんが、他の癌の場合、部位によっては精神的なダメージを受ける方もいるんではないでしょうか。実際に、それで放射線治療を中止する方もいると聞きます。
こうして1カ月弱の放射線治療を無事に終えました。そして、最終的な検査を受けることになったのです。
前の「白血病」の投稿はこちら
次の「白血病」の投稿はこちら