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2019年4月5日金曜日

リバ剣 道場デビュー① 後悔

リバ剣初日


緊張は頂点に


 2010(平成22)年1月。遂に、ブランク30年から剣道再開!

 当時小学3年の息子と妻が通う地元の道場に、私も入会しました。
 息子の付き添いなどで、道場の先生方や保護者の皆さんとは面識がありましたが、改めて、入会とリバ剣のご挨拶をさせていただきました。

 「ええっ。剣道やってたんですか」

 剣道をやっていたことは、家族以外には言ってませんでしたので、皆さん驚いてましたね。子供の“お父さん”が突然、道着・袴を着て、防具を担いで現れたんですから。

稽古の準備


 一礼して道場に入る。片隅で正座して垂と胴をつけた。
 竹刀袋から二刀用の大刀と小刀を取り出して鍔(つば)をつけた。
 小学生と稽古することも想定して、一刀でも稽古ができるように持ってきた3.9の竹刀も準備した。

 「二刀をなさるんですか!!!」

 ひとりの高齢の「錬士」の方が、私の小刀を見るなり声をかけてきた。
 剣道再開と同時に二刀を執るつもりであることを伝えた。

 「正逆どちらですか?」

 「正二刀です」

 「私の後輩で逆二刀を執る者がいて何度も稽古をしてるので、ぜひ今日は正二刀と稽古がしてみたい。よろしくお願いします」

 私、この時初段ですよ。しかもブランク30年の再開初日。
 そんな私に、ご高齢の錬士の方が稽古をお願いしますと言ってくださるなんて。恐縮と感謝で涙が出そうになりましたね。

 実は、リバ剣を決意してから今日まで、喜びと期待が大きくなっていく一方で、不安に押しつぶされそうになっていました。

 「本当に、いきなり二刀でやって大丈夫だろうか。受け入れてもらえるのだろうか」
 そんな不安を振り払うために、毎日ひとり稽古に熱中してきたともいえるのです。
 そして、今日初日、その不安は頂点に達していた。

 ご高齢の「錬士」ISMR先生。後に分かったことですが、後輩の逆二刀者とは、出身大学と所属会社が同じだったTD範士のことでした。

基本稽古開始、いきなり二刀で


 リバ剣と同時に二刀を執る理由は、以前の投稿で書きました。(それは、こちら

 小学生以下の稽古が終了し、中学生以上、一般の稽古が始まった。
 まずは回り稽古で基本打ち。最初は「切り返し」。
 私は二刀ですから切り返しも片手です。

 リバ剣、初めての二刀での稽古が始まった。「切り返し」も"防風林の中"(その様子はこちら)で、充分にやってきた。

 しかし、道場で防具をつけて生身の人間を相手にする稽古は全然違いました。
 死ぬかと思いましたよ。1回切り返しをやっただけで、息はゼーゼーハーハー、足はフラフラ、もう限界まで来てしまったという感じ。

 家では、毎日3時間以上竹刀を振り続けても大丈夫だったし、このころ1日4㎞は走ってました。なのに「なんで」って心の中で叫びましたよ。苦笑
 しかし、ここで休憩するわけにもいかず、初めての基本稽古をなんとかやり終えました。
 
 初めて二刀を執って片手での基本打ちは反省点ばかり。「面」打ちも「小手」打ちも、ただ“当たった”だけ。先生方には「打たれた気がしない」と言われました。「胴」打ちは、外してばかり。全く打突部位に当たりませんでした。「突き」はこの時点では稽古していませんでしたので、やりませんでした。

地稽古開始、もちろん二刀で


 回り稽古での基本打ちが終わると、高段者の先生方が元に立って地稽古が始まります。
 私は、先ほど声をかけてくださった ISMR 先生に稽古をお願いしました。

 30年ぶりの稽古で、初めて二刀を執っているわけですから、いいとこなんてありません。理合もなくただ打っていくだけ。それでも ISMR先生が何とか引き立たせて下さるので、稽古らしくなってたと思います。私は必死でしたけど。

 もう限界をとっくに超えてました。片手で竹刀を振り続けるなんてもう無理、と思いましたね。何度竹刀を落としたことか。握力がなくなっている。足ももう前に出ない。

 気持ちは高校生の時のままなんです。でも、体がついていかない。そのギャップを埋めようとさらに力が入ってしまう。
 尋常じゃない汗の量。しかも爽やかな汗ではなく、“変な汗”。30年間運動をほとんどしてこなかったので、体内の“毒素”が出たって感じ。自分の汗で滑って転びました。笑

 その後も、次々に声をかけて頂き、3名の方と稽古してしまいました。もう精も根も尽き果てました。

未使用の一刀用の竹刀を捨てた


 「剣道をやるなんて言わなきゃよかった」

 リバ剣初日にいきなり二刀で稽古して、あまりのつらさに帰りの車の中でそう思いました。心から後悔しましたね。

 帰宅してすぐ、竹刀袋から一刀用の3.9の竹刀を取り出した。そして、“のこぎり”でその竹刀を切り刻んで捨てました。

 「もし、一刀を執ったら、そのまま一刀に逃げてしまい、二刀の稽古をしなくなる」そう思ったから。

 リバ剣と同時の二刀での稽古。その苦しさは、想像を絶していました。