古流の「理」にかなった稽古
充実の内容に心を揺さ振られる
2010(平成22)年1月。
ブランク30年から剣道を再開し、地元剣連で道場デビューした1週間後のこと。(道場デビューの様子はこちら)
二天一流武蔵会東京支部の稽古会におじゃまさせて頂き、見取り稽古をさせて頂きました。(「武蔵会」を知った経緯はこちら)
二天一流第十七代師範であり新免二刀流第十六代師範である中村天信先生は、こちらの稽古会には年に数回お見えになるということですが、この日はいらっしゃいませんでした。
この日の指導は、師範代の佐々木さんがされておりました。
参加者は20名ぐらい。年齢層は、20代の方からご高齢の方までいらっしゃいました。
稽古が始まった。
最初は基礎体錬から。
道着・袴姿で、ナンバ歩きの稽古。
通常、「剣道」では稽古の最初は"形”もしくは"素振り"ですよね。「古流」ともなれば最初は"ナンバ歩き"なんですね。
すでにこの時点で、二天一流の稽古に引き込まれていきましたね。
次に形(かた)の稽古。
武蔵会で稽古している形はいくつかあって、この時は、先師荒関二刀斎が制定した「十三本の兵道形」を稽古していました。
初めて見る二刀の形。これも興味津々で見入っていました。
そして、竹刀を執って片手で素振りと打ち込み。
大刀の重心部分に印(しるし)がある方がいる。私は二天一流武蔵会のホームページを事前に見て、この意味を知っていましたので、稽古している内容が理解できました。
木刀や竹刀の重心を知る。重要なことなんですね。
そして最後に、防具を着用して、基本打ちと地稽古。
トータルで約4時間。とても充実した内容といえる稽古会でした。
見取りした感想
全体的な印象としては、和気藹々とした雰囲気の中で、皆さん非常に集中して稽古なさっているな、と思いました。
基本と、正しい片手刀法を重視した、きれいな二刀剣道をされているなと。
特に興味深かったのは、ナンバ歩きの稽古。諸手であっても片手であっても、正しい刀法にはこれがベースになければならない、ということですね。
日本人の現在の歩き方は、明治維新後の服装や生活様式の変化、西洋式の軍事教練の導入などで変化したものだと、聞いたことがあります。
ですから、明治維新以前の日本人は皆、この“ナンバ”で歩き、走っていたんですね。和装の特徴を一つ一つ見れば、納得できます。
例えばその一つ。雨に濡れた土の道をビーチサンダルであるいたら、「ペタンペタン」とビーチサンダルのかかとに当たる部分が跳ね上がり、泥水も一緒に跳ね上がって足にかかってしまいますよね。
和装に草履履き。コンクリートもアスファルトで舗装された道もない時代。ナンバ歩きなら、泥水は跳ね上がりません。
刀法はこの“ナンバ”という日本人特有の身体運用法があったうえでのもの、ということになります。正しい刀法には、ナンバは不可欠だということですね。
思い返してみれば、小中学生のころ、剣道の稽古中に指導者の先生から「腰を入れろ!」とよく注意されました。
「腰をいれる」とはどういうことか。ナンバ歩きを稽古していくことによって、説明がつきそうだなと思いました。
「ここなら、二刀の正しい基本と理が学べる」と直感した。
やはり、見立てに狂いはありませんでした。
この稽古会は定例で、次回は2週間後とお聞きし、参加を決めて帰路に就いた。