壮年の部、決勝で敗れる
正二刀の上下太刀の構え |
稽古量は充分、自信をもって試合に臨む
2013(平成25)年5月。浦安市春季市民剣道大会に参加しました。浦安市民大会は春に個人戦、秋に団体戦を行なっています。なので、今回は個人戦のみ。
この時私は49歳。壮年の部に出場しました。
前回の投稿までに、OOT範士にアドバイスをいただいたのがきっかけで「手の内」の稽古に取り組み始めたことを書きました。
その「手の内」の稽古を始めて半年たち、かなり自信もついてきた。稽古量を見ても、もうこれ以上は無理というところまでやっている。(当時の稽古メニューはこちら)
しかもこの前年、この大会部門別でリバ剣後に初優勝している。(その様子はこちら)
そうなれば、まずは壮年の部の連覇を目指すしかありません。
しかし、この時私の段位は三段。この大会に出て、私より段位が低い方と当たったことはありません。皆さん私よりも高段。油断は禁物です。
3回戦までは順調に勝ち進みました。
準決勝
準決勝のお相手は剣道七段の方。私よりも若く剣道強豪校出身の公務員。稽古をする時間のいっぱいある人です。微笑
試合が始まると、お相手は諸手上段に構えた。私は試合で上段の構えと対戦するのは初めて。
お相手はひと振りで決めようとしているのか、無駄打ちしてこない。
私の出ばなをとらえる自信があるようだ。しかし私は終始落ち着いていて、お相手の攻めに動かされることがないよう、機をうかがっていました。
すると、お相手が徐々にいら立ちはじめた。
諸手上段の方から見たら、正二刀は打つところがないんですね。諸手上段に対する正二刀は上下太刀(写真上)に構えているだけで、ほぼ完璧な防御になってしまう。
主審の「やめ」がかかった。時間切れです。4分間の試合時間が、あっという間に感じました。延長戦は一本先取した方が勝ち。
「延長、はじめ」
主審の号令とともに諸手上段に構えたお相手。私がやや遅れて上下太刀に構えた瞬間、お相手は中段に構えを戻して突いてきた。
「うぉーっ!」
聞こえたのは観覧席からの歓声です。
お相手が構えを中段に戻し「突き」にくる刹那、私の小刀がその竹刀を斬り落とし、同時に大刀が「面」をとらえた。
考えて打ったのではなく、気づいたら体が反応して打突が完了してた。旗も3本上がってました。
決勝
壮年の部、決勝。これに勝てば2連覇。
ちょっと、おごりがありましたね。準決勝まで会心の試合をしてましたから。
気持ちは、この後の"総合の決勝"の方にいっちゃってました。
試合が始まりました。
正直、あせりました。試合開始直後から。
お相手は40歳の元実業団選手。私が仕掛けたり誘ったりする技が読まれていて、まったく通用しないのです。
後で聞いた話ですが、この方は私と対戦したくてこの大会に参戦したそうで、事前にかなり研究されたそうなんです。
立合いの中で、一本を取れる気がまったくしないのです。
試合はまたも延長戦に。
今から考えれば未熟でした。
機をつくれないなら、お相手が打ってきたところを仕留めようと思ってしまった。
そう思うこと自体が、もう受け身なんですね。
初心者には通用しても、上級者には通用しませんよね。
お相手が「面」に来たところを「面」で仕留めにいった。
間に合うはずはありません、私が動かされてるんですから。勝敗はその時点で決まってました。
敗因は過信
正しい片手素振りの稽古で、手の内の冴えが身に付き始めて、過信があったと思います。
打突の速さと、手の内の冴えがあれば、なんとかなると。
攻めて崩す、攻めて動かす、そういった「攻め」を軽視していた自分に気づかされました。
試合で負けるのは、本当に悔しいですけど、必ず大きな発見があるんですよね。
勝っていたら気づけないことなんです。
今回も、克服すれば必ず成長できる課題をいただきました。
追記
表彰式が終わって散会となり、着替えて会場を後にした。
駐車場に向かう路地を歩いていると、後ろから小学生の低学年らしい子供と父親の声が聞こえてきた。
「お父さん、今日、二刀流がいたね」
「なかなか見られないんだよ。よかったね」
「うん!」
自分の子供の頃と重なっちゃいまして、熱いものがこみ上げてきました。
そして、さらに精進することを心に誓いました。
(子供のころ初めて二刀流を見たときの様子は、こちら)