2019年6月16日日曜日

平成27年市川市民剣道大会 打たれて感謝!感動的な一本‼

昇段して出場部門変更


四、五段40歳以上の部


 2015(平成27)年10月。市川市民剣道大会の個人戦に出場しました。

 この大会は、2012(平成24)年と2013(平成25)年に部門別で連覇しています。(平成24年大会の模様はこちら。平成25年大会の模様はこちら
 その時は、「三段以下45歳以上の部」という部門。大人になってから剣道を始めた方と、私のような"リバ剣"組が多い部門でした。

 今回は、この年の8月に四段に昇段しておりますので、「四、五段40歳以上の部」への出場となりました。(四段審査の記述はこちら
 この時私は51歳。この部門ですと10歳も若い方と当たる可能性がありますし、長くこの部門に出続けている年配の方もいらっしゃる。
 初めて出場する部門ということで、様子がまったく分からず、ちょっと不安でした。
 

試合開始


 「四、五段40歳以上の部」の出場者の方々を見ると、以前の部門の出場者の方々と比較して、体格が大きく見える。気のせいかも知れないが、日頃の鍛錬の違いだと思うと、いっそう不安な気持ちになる。笑
 トーナメント表を見ても、誰も過去に対戦したことがある方はいない。
 いよいよ試合が始まりました。

 以前の「三段以下45歳以上の部」では、試合コート内を中段に構えて、右に左に動き回る方が多かったのですが、この部門になると、もうそういう方はいませんね。
 奇をてらって打ち込んでくるようなことはせず、理合(りあい)のある技を出している。大人の剣道の試合らしくなってきました。

 私は自分でも以外でしたが順調に勝ち進み、準決勝まで駒を進めました。

準決勝のお相手


 準決勝のお相手は、年齢がなんと70歳ぐらいと思われる方。
 この市民剣道大会は出場者が約300名いますが、その中でも最高齢だと思います。
 その方が、この部門にいるのです。

 この方は、剣道五段ですが、実力的にはもうとっくに七段以上になっていなけれはおかしい人。
 実際に、どんな若手現役選手もこの方に相対したら子供同然。自分の思う通りの剣道なんてさせてもらえません。ご自分より段位が上の七段の方々も、コテンパンに打ちのめしてしまうのです。
 ちょっとこういう方は、見たことがありません。気迫と体力が半端じゃない。

 信念があって六段以上の審査は受けないそうですが、市の剣連ではある意味、非常に恐れられた存在です。
 しかし、出稽古先でお会いしたりすると、笑顔で声をかけてくださり、素晴らしい人格者でもあります。

 そんなお方が、今、私の前に立ちはだかっているのです。

心を打たれた一本


 試合が始まって意表を突かれた形になった。
 私はこの方とは、出稽古先で何度も稽古をお願いしていて、手の内も解っていたつもり。攻略する自信もあったんですが、なんとお相手は諸手左上段に構えている。
 普段は中段の構えで稽古している方です。上段に構えているところなど見たことがありません。二刀対策としての「上段の構え」のようなのです。

 しかし実際には、二刀は特に「上段」を苦にするということはありません。どちらかと言えば、対上段は得意な方でしたので、好都合だと思った。
 それが間違いでした。

 諸手左上段の左右の小手は、上下太刀に構えた二刀からしてみれば、大刀で非常に打ちやすい位置にあります。それを簡単に仕留められると思ってた。
 私は機をみて上段に構えたお相手の「右小手」を打ちにいった。同時にその出ばなをとらえたお相手が「面」にきた。
 お互いに打ち損じました。しかし、審判の旗はお相手の方に上がっていたのです。
 
 この時は、まだ落ち着いていました。充分取り返すことができるだろうと。
 機を見たつもりが、逆に出ばなをとらえられたことを教訓に、しっかり居付かせるか崩すかして打とうと思った。
 その通りにお相手が居付いたところを、もう一度「右小手」。今度は一本。

 これで勝負に。もう一本取った方が決勝進出となる。

 しかし、ここからがお互いに攻め崩せなくなって決まり手がなく、延長戦に入った。
 試合時間は20分を優に越している。
 左右の小手打ちは読まれて打つ手がなくなり、私はこう決断した。

 「相面(あいめん)で仕留めよう」

 お相手は終始一貫、私の「面」だけをとりにきている。そこに私の弱点があるとみて、そこだけを狙っているようだ。
 ならば、こちらもその面に合わせて、得意の「相面」で仕留めようと決意した。

 お相手は諸手左上段、私は正二刀の上下太刀。お互いの気勢が充実しきって、もう後戻りすることが出来ない"石火の機"に、渾身の「出ばな面」を打った。
 この"石火の機"にお相手が打ったのは、私の「右小手」。大刀を持った方の「小手」です。「出小手」が決まったのです。観覧席からは、「オォーッ」という歓声が上がりました。

 お相手は、これを待っていたんですね。私が「相面」が得意なのを知っていた。その機会をひたすら待っていたんですね。
 そうとは知らずに、機をとらえて「相面」にいったつもりでしたが、動かされたのは私の方だったんです。そこを見事に「出小手」で仕留められてしまった。

 完敗でした。これ以上の素晴らしい一本は、打たれたことがありません。
 試合中にもかかわらず、「参りました」と言ってしまいました。
 "心を打つ一本"とは、こういうことなんですね。

 「四、五段40歳以上の部」の初参戦は3位に終わりましたが、忘れることのできない大会になりました。

 剣道は「活人剣」。胸に刻みます。
 

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