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2019年6月18日火曜日

平成28年浦安市秋季市民剣道大会 初の総合優勝!

団体戦、壮年の部は3連覇


今回から秋季大会も「総合の決勝」を挙行


 2016(平成28)年10月。浦安市秋季市民剣道大会に出場しました。この秋季大会は3人制の団体戦のみ開催されます。
 この前年は、この大会で壮年の部連覇を達成しております。(平成27年大会の模様はこちら

 なお、今回は部門別のトーナメントだけでなく、その優勝者が「総合の決勝」を行なうことになったらしい。
 春に開催される春季大会(こちらは個人戦のみ)では、総合の決勝が行なわれています。なので、以前から秋季大会の団体戦も「総合の決勝を」という声は上がっておりました。
 今回、ようやくそれが実現したかたちになりました。

今回も同じメンバーで


 メンバーは不動のおやじチーム。今回も、壮年の部に出場のチームの中で、平均段位が最も低いチームでした。笑
 
 先鋒は40代半ばの逆二刀者。三段。
 中堅は私でこの時52歳。正二刀。四段。
 大将は還暦すぎたおじさんで一刀中段。三段。

 私が声をかけて結成したチームですが、こんなに注目を浴びることになるとは思いませんでした。
 この大会で、同一チームが連覇したのは初めてのことですし、メンバー一人ひとりが個人戦で優勝経験があるのですから。お相手にしてみれば、いやーなチームでしょうね。私だったらやりたくありません。笑

 しかし、市内のライバル道場の皆さんは、今回もメンバーを組み替え、新チームを作って参戦してきている。気を引き締めなければなりません。

壮年の部


 試合が始まって出だしは順調。
 しかし、2回戦でちょっとヒヤリとしたことがありました。

 その2回戦の私のお相手は、以前、春季大会の個人戦で対戦し、私が負けたことのあるお相手。今回はリベンジするチャンスと思い、試合に臨みました。
 以前の対戦で負けた時は、大刀側の拳(こぶし)を打たれて一本を取られています。(拳は打突部位ではありませんので、厳密には誤審)

 今回はそういう負け方はしたくないと思い、積極的に自分から攻めていった。そして、私が大刀で面にいったところを、お相手は竹刀で受けて胴を打ってきた。「面返し胴」です。
 二刀者は大刀で面を打ちにいった場合、小刀が自分の胴の前にありますので、自然に胴を防御しているかたちになる。
 この時も、お相手の胴打ちは、私の小刀に当たっただけ。しかし、その時の音が胴を打った音のように聞こえてしまったんですね、審判の方に。それで、一本になってしまった。今回も誤審……。

 先鋒は勝っていますが、これで私が負ければ大将戦にもつれ込んでしまう。こんな負け方だけはしたくないと思い、急にあせり始めてしまった。
 このお相手の方は、本当に隙がない。試合時間もあとわずかだと思われる。
 このままでは、一本負けになると歩み足で思い切って攻め込んだ。
 お相手の手元が上がったのが見えた時、そこをめがけて大刀を振り下ろしていました。

 「小手あり」

 審判の声が聞こえました。本当にホッとした。
 その後すぐに試合時間の終了の合図があり、引き分け。
 大将も引き分けて、チームは勝ち上がることができた。しかし、一歩間違えれば、危ない展開になるところでした。

 その後もチームワークよく勝ち進み、決勝戦に。
 この対戦も、先鋒の逆二刀者が勝ち。
 私は、お相手を崩しきれず、機をつかめないまま引き分け。
 大将も引き分けて、壮年の部の優勝を決めた。

 今回は、私は引き分けが多かった。いまいち調子に乗れなかった感じ。振り返ってみれば、機を逃した場面が、多々あったと反省しきり。
 しかし結果は、3連覇達成。本当にうれしかった。

総合の決勝


 壮年の部3連覇の喜びもつかの間、総合の決勝が始まるとの場内アナウンスがあった。
 前年までは、部門別のみの団体戦でしたが、この年は青年の部の優勝チームとの「総合の決勝」をやるという。

 普通は嫌がると思います、おやじチームは。若い人とやってもどうせ負けるからやだ、って言うんじゃないでしょうか。
 しかし、私たちおやじチームの先鋒と大将はやる気満々なんです。それを見て、私はおかしくて笑っちゃいました。まあ、私もやる気満々だったんですけどね。笑

 対戦相手は、青年の部の決勝で、30代の強豪大学OBチームを破った現役大学生チーム。
 この大会では、初めての試みである団体戦総合の決勝。会場にいる誰もが固唾をのんで、試合開始を待っています。

 対戦チームのオーダーを見ると、先鋒に最も強い選手を据えている。勝ち点を先行させようとする作戦。3人制の団体戦ではよく使われる手法です。
 一方、私たちおやじチームは単なる年齢順。そういった駆け引きはナシ。
 試合が始まりました。

 お相手チームは強豪校の現役剣道部員。瞬殺だけは避けたいところ。
 会場にいる誰もが、青年の部優勝チーム優勢を疑わなかったのではないでしょうか。
 
 先鋒戦。
 足さばき、打突、身のこなし、何をとってもこれまでのお相手とは、速さが違う。
 しかも、逆二刀を相手に防御も完璧。さすがに、現役選手は順応が早い。大刀側の小手を執拗に狙ってきている。
 おやじチームの逆二刀者はよくしのいで、引き分けに持ち込んだ。
 まずは、先鋒で勝ち点を先取するというお相手チームの思惑は、阻止することができた。
 
 中堅戦。
 ここで私が勝ち点を取って、優位に試合を進めたいところ。大将は、年齢差があり過ぎますから。大将に勝敗をゆだねる展開にはしたくない。
 しかし、試合が始まってみると、お相手は私と勝負してこない。引き分けに持ち込んで、大将戦で決着させようという作戦です。
 こういう戦い方は、壮年の部ではやる方はいません。やはり現役選手は勝ち負けにシビアですね。どん欲に総合優勝を狙ってる。
 のらりくらりとかわすお相手を攻めきれず、引き分けになってしまった。
 
 大将戦。
 試合を見ているほとんどの人が、おやじチームには分がない、と思ったんじゃないでしょうか。
 私もそう思いました。ああ、これで終わりだと。
 しかしね、我がおやじチームの大将、打たれないんですよ。ホントに。
 危ない場面は何度かありましたけど、負けないんですよ、打たれないから。
 なんと、引き分けに持ち込んじゃった。
 これは、観ていて驚きました。最低段位のおやじチームが、青年の部の優勝チーム相手に、代表戦ですって。
 場内からは、歓声とどよめきが起こった。

 代表戦。
 試合を終えた大将が戻ってきて、代表に指名したのは私。
 この日は、調子が今一つでしたが、そんなことは言っていられない状況。
 お相手チームの代表は、思った通り先鋒の選手。
 試合が始まりました。

 代表戦は、一本勝負です。体力のことを考えれば、早く決着をつけたい。歩み足でどんどん攻め込みました。
 お相手は、近間(ちかま)を嫌って間合いをとりたがっている。小刀で竹刀を押さえられるのを、警戒しているようだ。

 お互いに決まり手がなく、試合時間は、10分を超えていたと思います。いつもなら、私はとっくに息が上がっているはずですが、この時は少しも疲れを感じません。
 気迫は充実したまま。心は非常に冷静でした。

 お相手とは、互いに「出ばな」を取り合って、相面になる場面が何度もあった。
 「これは、ちょっと危険だな。ヘタをすると一本をとられてしまうかもしれない」と、弱気になりかけた時が一瞬あった。
 しかし私は、相面になった時のお相手の竹刀が、正中線からわずかにはずれていることに気づいていた。

 「やっぱり、相面で仕留めよう」

 そう決意した直後、石火の機に相面になった。正中線を制して「正面」をとらえたのは、私の大刀でした。
 審判の旗が3本上がると同時に、ものすごい歓声が場内に響く。

 ついに勝った。総合の決勝。しかも代表戦で。
 観客はみんな大喜び。中でも一番喜んでいたのは、大会役員席の先生方でした。笑

懇親会


 大会後の懇親会も大盛り上がり。
 選手の私たちより、観ていたおじさん剣士たちが喜んでくれて、大騒ぎ。
 本当にうれしかった。皆さんがこんなに応援してくれ、優勝を喜んでくれるとは思いませんでした。

 部門別で3連覇して、今回は総合優勝も。
 おやじ3人で勝ち取った偉業です。
 こんなことが起こるんですね。剣道って本当に面白い!
 リバ剣して7年目の出来事です。


追記
 この懇親会で、一人だけ笑顔のない先生がいました。
 この方は、市の剣連に"アンチ二刀"が3人いたうちの、最後の一人。(そのアンチっぷりはこちら
 "アンチ"だからといって笑顔がなかったわけじゃないんです。この時、仕事上の重大なトラブルを抱えていたそうで、元気がなかったのです。
 この方は大会役員ですから、一応、優勝者としてお席までご挨拶にうかがった。
 すると、小さな声でお礼の返事をいただきましたが、心痛な面持ちでしたね。

 この2年後に、アンチ二刀ではなくなったこの方の笑顔に、出会うことになります。