二段からはすべて二刀で受審
いよいよ四段、県剣連の審査会へ
2015(平成27)年8月。剣道四段の審査を受審しました。
2010(平成22)年に剣道を再開し(当時は初段)、同時に二刀を執る。
その半年後に、二段を二刀で受審し合格。(当時46歳。審査の様子はこちら)
さらにその2年後に、三段を二刀で受審して合格。(当時48歳。審査の様子はこちら)
そして3年がたって四段の受審資格を得た。
(注:剣道の段位は、合格後、次の段位を受審する場合、定められた期間をあけなければならないと規定されています)
三段に合格すると四段受審までには、3年の期間をあけなければなりません。
時間がたってみればこの3年間は、あっという間でした。やることがいっぱいありましたから。30年のブランクを埋めるのは、なかなか大変で、まだ自分で納得のいく剣道ができてないとあせる毎日。
仕事から帰宅して、食事と風呂の時間以外はずっと稽古。(その内容はこちら)
気づいたら、四段を受審できる時期になっていたという感じでした。
三段以下の審査は、市区の剣道連盟の主催ですが、四、五段は、都道府県の剣道連盟の主催になります。
審査前になると現れる人
「二刀で受けたら、段審査は合格できないよ」
こう言う人、今回もたくさん現れました。笑
二段を受審した時も三段を受審した時も言われましたけど、今回が一番言われましたね。
というのは、周辺の地域の二刀者で、十数年間昇段できていないという方が、数名おられたからです。皆さん、それを知っていらっしゃる。
「二刀は、試合には強いが段審査には合格できない」なんてことが、まことしやかに、ささやかれていたからです。
しかも、四、五段は県剣連の審査。今までのようにはいかないよ、というわけです。
こういう声を上げる人の中で、二段を受審する時から毎回「無理だ」と言い続けている人がお一人だけいるんです。
この方はJALの元パイロットで剣道六段。私と同じ道場所属の方です。「県の審査会は二刀では絶対に無理」って断言していました。
人生には、いろんな人が登場人物として現れるものです。
二刀での受審は私だけ
審査当日。会場入りして受付をした。
剣道の段審査は、一人2回、立合います。
しかし、その組み合わせに普段対戦することのない二刀者が入った場合は、一刀者にとっては不利になります。なので二刀者と立合った者は公平を期すために、もう一人の一刀者と立合うので一人3回立合うことになるのです。
そういうことで、二刀者は受付の時に申告が必要になります。その日、数百名の受審者の中で、二刀は私一人でした。
三段の審査の時には少なかった40歳以上の壮年者も、四段受審となるとかなり多い。
この日の受審者の最高齢は70代の男性でした。
一回目の立合い
お相手は私と年齢が同じ。身体能力に差はないとみて、普段通りの立会いができれば大丈夫と信じてコートに入りました。立礼から大小を抜刀して蹲踞。「はじめ」の号令で立ち上がった。
気合ともにお互いが間合いを詰める。気勢が充実し互いにもう引けない状態になった瞬間、「相面」になった。
初太刀は私が制しました。
動揺したお相手は、そのあとすぐに「面」に飛んできた。
そこも冷静に判断して、小刀で受けると同時に大刀でお相手の「左胴」を斬った。
さらにお相手が動作を起こそうとする刹那に、小刀で竹刀を払って大刀で「小手」。
最後に「出ばな面」をもう一本決めたところで、終了の合図。
完璧に近い立合いだったと思います。
二回目の立合い
お二人目も、気負うことなく立合いましたが、それは最初だけ。その冷静さはすぐに失いました。
今回も初太刀が「相面」になりましたが、「相打ち」になってしまった。お互いがお互いの「面」をほぼ同時にとらえたのです。
これを審査員の先生方がどう判断されたかが気になってしまった。
すると、お相手に攻め込まれる展開になりそうになり、あせって打突の機会をとらえることなく打ってしまいました。
これは"無駄打ち"。段審査ではやってはいけないことです。
「しまった」
ますます動揺しましたが、直後にお相手が「突き」にきた。無意識に身体が反応し、小刀でお相手の竹刀を押さえた直後、お相手が竹刀を落としてしまった。
「やめ」の号令がかかって開始線の位置へ。そして、再開しましたが、今度はお相手が動揺したようで、攻めも打突も雑になり、互いに"合気"になれず、いいとこなし。
時間が来て、そのまま審査終了となった。
初太刀の重要性
一人目と二人目、「初太刀」で明暗がわかれた立会いでした。
初太刀が決まれば、立合いの流れが自分の方にくる。その機会を逃せば、自分の方に流れを引き戻すのは至難の業。
改めて、初太刀の重要性を痛感しました。(初太刀についての記述はこちら)
観ていた人からは、二人目の初太刀も私がとっていたと言われましたが、どうも自分では納得がいきません。祈る気持ちで発表を迎えました。
合格者の発表
50代以上の四段受審者は、数十名いたと思います。
合格したのは数名。私もその中に入っておりました。
発表後は、たくさんの方に声をかけていただきました。皆さん面識のない方ばかり。
二刀で受審している者がいるという物珍しさで、注目してくださっていたんですね。
ありがとうございました。
これからも、稽古でも、試合でも、審査でも、「初太刀」にすべてをかける剣道を追究します。
追記
後日、所属道場で、昇段の報告をしました。
その時いらしたのが、例の元パイロットの方。
「次の五段は、二刀では絶対無理だよ」って言ってきました。
もう笑うしかありません。