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2019年11月10日日曜日

令和元年 浦安市秋季市民剣道大会 2度目の総合優勝!

病気とケガを克服した"おやじチーム"

総合の決勝、筆者(中堅)の試合

3年ぶりの再結成


 2019(令和元)年11月4日、浦安市秋季市民剣道大会が開催されました。
 この秋季大会は団体戦のみ。個人戦は春季大会でおこなわれている。

 団体戦は3人制で、過去3回同じメンバーで出場しています。
 今回は3年ぶりの参加となりました。
 というのは、中堅を任されていた私が一昨年に急性リンパ性白血病と診断され、治療のため入院。奇跡的に回復して昨年復帰。(闘病の様子はこちら
 しかし昨年、今度は大将を務めていた方が、稽古中に左アキレス腱を断裂。そのため、2年間チームを組めず、出場を見合わせていました。

壮年の部の優勝は、過去3回


 それでようやく今年、チームを再結成することができたのです。
 このメンバーにこだわっているのは、過去にこの大会の壮年の部で3連覇しているから。3年前(2016年)の大会からは総合の決勝も行われ、その時は青年の部の優勝チームをも破って、総合優勝しています。(その模様はこちら

 病気やケガで連覇は途絶えてしまいましたが、それを克服してチームを再結成できた喜びの方が大きかった。3人とも口には出しませんでしたが、今回も最初から総合優勝を目標にしていてたと思います。まずは予選リーグを1位で通過し、壮年の部の決勝へ駒を進めました。

壮年の部、決勝


 40歳以上のチームが対戦する壮年の部。大会パンフレットの参加チーム一覧を見た時、決勝まで勝ち上がってくるだろうと思ったチーム。予想通りそのチームが決勝のお相手です。
 それは近隣ライバル道場の方々。年齢的には我々と同じぐらいだと思いますが、皆さん高段者。一方、こちらは全員リバ剣組で低段者。笑
 風格も品格も、お相手チームの方が数段上です。苦笑

 まずは先鋒戦。こちらは逆二刀、TD範士のお弟子さんです。予選から絶好調で、勝ち点を挙げてくれる頼もしい存在。しかし、お相手はかなり対二刀を研究してきたと見えて接戦になっている。互いに有効打突なく時間切れで引き分け。

次は中堅戦。私、正二刀。主審の「はじめ」の号令で蹲踞の姿勢から立ち上がり、中段十字の構えのまま攻め込もうと前へ出た。すると、お相手はすかさず左小手を打ってきた。中段十字の構えの小刀側の小手を打っても、打突部位にはまず当たることはありませんから、そのまま見逃した。
  すると、「小手あり」と主審の声。左拳を打たれたんですね。拳は打突部位ではありませんので、厳密には誤審です。
 しかし、心を乱すこともなく、平常心のまま一本を取ることだけに集中。お相手が居付いたところを「面」を打って一本取り返し、そして試合時間終了間際に「出ばな面」でもう一本。これで二本勝ち。

  そして大将戦。激しい攻防の末、有効打突がないまま時間切れの合図。その瞬間、私たちのチームの壮年の部の優勝が決まりました。

総合の決勝


  ついにここまで来ました。
  市民大会ですから、対戦するお相手は面識のある方が多い。剣風もなんとなくわかっている。しかし、それは壮年の部の話。
  青年の部は毎年、出場者の入れ替わりが早いので、初めてお目にかかる方がほとんど。
  なので、青年の部の試合は、目を皿のようにして見てました。どのチームが総合の決勝の対戦相手になってもいいように。
  あるチームの中堅の選手を見て、この選手とだけはやりたくないな、と思った。
  するとやはり、そのチームが総合の決勝のお相手になるんですねぇ、これが。

  しかし、この時点では、私はなんとか引き分けに持ち込めればいいかな、ぐらいに思ってた。私のチームの先鋒は絶好調ですし、お相手のチームの先鋒は諸手左上段。二刀者にとっては対戦しやすいお相手ですから勝ってくれるんじゃないかと。
  しかしこのあと、勝負の世界でそんな甘い考えが通用するわけがないと、再認識させられることに。

 総合の決勝戦になると、市総合体育館のメインアリーナの試合会場も、一つのコートだけが使用されることになります。すると、観覧席にいた方々が最後の試合を間近で見るために次々にアリーナに降りてきて、その一つのコートのすぐ脇に陣取る。会場全体が緊張に包まれた独特の雰囲気です。
 総合の決勝戦が始まりました。

先鋒戦


 先鋒戦は、逆二刀対諸手左上段。派手な対戦に、観戦している少年剣士たちも目が釘付けの様子。
 諸手左上段の方は、逆二刀に対してどう攻めていいか分からないのか、理合(りあい)なく打突している。
 それを難なくしのいで、機をうかがっていたこちらの逆二刀者は、挑発しようとする意図があったんでしょうか、小刀を持つ右手を自分の腰の後ろに回したんです。
 するとすぐに主審の「ヤメ」の声。試合が止められ、3人の審判が合議に入った。その結果、自分の打突部位を隠したということで、反則をとられてしまった。
 すぐに試合は再開されましたが、逆二刀者の動揺が見て取れる。先ほどまでの落ち着いた試合運びができなくなってしまったよう。無駄打ちが多くなり、結局、有効打突なく引き分け。

中堅戦


 「先鋒で一勝は堅い」。そんなことを考えていた自分が恥ずかしくなりました。
 もう私が勝つしかない。大将は、左アキレス腱断裂の大ケガから復帰して3カ月しかたっていません。チーム再結成のため無理に出場してくれたようなもの。私が勝ち点を挙げられなければ、大将にチームの勝敗を全て背負わせてしまうことになる。
 そんなことはさせられないという思いが、沸々と湧き上がってきました。

 私のお相手は、身長が190cm以上あろうかという20歳代の方。私とは親子ほど年が離れています。
 試合が始まりました。(添付動画参照)
 すると、すぐに「面あり」という主審の声。一瞬戸惑いました。
 私は大刀で面を打った感触はあるのですが、どのような場面でどう打ったのかが自分で分からない。素早いお相手の動きに、身体が勝手に反応してくれたみたいです。これでまず一本先取。
 しかしその後、お相手ともつれたところで押されて転倒。受け身をとれずに、後頭部を床に強打してしまった。意識はちゃんとあり痛みもなかったので、主審に問題ないことを伝えて、試合続行。
 なぜかこれをきっかけに、ますますエネルギーが湧いてきた。笑
 絶対にもう一本取ってやる!そう思いながらも、心は非常に冷静で、お相手の動きがよく見えました。
 長身と長いリーチをいかして次々と打ち込もうとするお相手の剣を小刀でさばいていく中で、私の「攻め」にほんの一瞬、打突を躊躇したお相手。再度打とうとしたその刹那を、「出ばな面」で仕留めた。審判の旗も3本あがっていて、これで二本勝ち。

 自分の役割を果たすことができた安堵感はありましたが、心配なのは大将の万全ではないアキレス腱の状態です。

大将戦


 ここまで来ると、実際問題として、勝敗よりも大将のケガのことの方が心配になってしまうんですね。事情を知る誰もが、そう思っていたんではないでしょうか。年齢も60代半ばですから。
 お相手の選手は、20代後半と思われる高身長で体格のいい選手。強く体当たりされればひとたまりもありません。
 「ケガだけはしないでほしい」。祈る気持ちで見守る中、試合が始まりました。

 やはり左足をかばいながらの、戦いには無理があります。お相手はスピードと瞬発力がありますから、打突すればその勢いで体当たりすることになる。故意ではなく自然にそうなる。
 すると、こちらの大将は、足で踏ん張ることができませんから、ヨロヨロと下がって場外に出そうになるんですね。その姿を見て、「もうそこまでして、頑張らなくてもいいですよ」と心の中で叫びました。
 誰よりも"勝つ"ということに執着している人なので、もう格好なんて気にしていないんですね。そんな身体の状態でも、果敢に攻めています。決して逃げることはしないのです。
 その戦いぶりに心を打たれたのは私だけではないと思います。見ているほとんどの方が、こちらの大将を応援していたと思います。

 そして、試合時間終了の合図。なんと引き分けに持ち込んでしまった。繰り返しますが、お相手は青年の部を制したチームの大将、強豪校出身の若手です。
 まあ、ホントにすごいおじさんです。この瞬間に、私たちのチームの総合優勝が決まりました。 
  

おやじ旋風巻き起こる


 本当に素晴らしいチームワークで達成できました。同じチームで2度目の総合優勝です。
 壮年の部の優勝に関しては、これで4度目。今大会、私たちのメンバーは誰も負けていません。"引き分け"か"勝ち"。チーム全員でつかんだ勝利の喜びは、個人戦のそれとは全く違うものですね。

 こんなおじさんたちと若者が、真っ向勝負できる剣道って本当に素晴らしい!


追記
 今大会中、先鋒の逆二刀の方が反則をとられた件。これは、反則以前の問題です。
 ご本人は、「俺は小刀なしでも、お前と戦えるぞ」という挑発の意図があったと思う。
 この方の師匠(故人)は平成の高名な二刀者でしたが、頭上高く大刀を上げたりして威嚇や挑発をする方だった。鍔迫り合いのルールも無視するし、抜刀や納刀の所作も自己流で、残心もしないというスタイル。
 高名な方や地位の高い方が誤った行為をしていても、指摘されたり注意されたりしないということ、よくありますよね。
 その"誤った行為"を見て、誤っていると気づく人は賢明ですが、「あの方がやっているんだから正しいこと」と認識してしまう人がいるんですね。
 剣道での〈攻め〉と、威嚇や挑発はもちろん違います。剣道では、威嚇や挑発は失礼なこと。
 同じチームの方ですが、学んでいただきたいと思います。